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    BLOGGING

    2013.05.04

    Tシャツ騒動

    昨年末のクリスマスシーズンに、私達のケニアのミュージシャンが暮らすスラム、Kochでライブをした。その様子をFacebook当ブログCampfireでアップしたところ、ライブスタッフ用につくったTシャツを欲しい!という声が日本から上がった。

    スラムにはTシャツ屋さんがけっこうある。私達のミュージシャンのPhilipも、音楽からの収入以外に、Tシャツ工房でも働いて生計を立てている。一度、彼が働く工房を見に行った。Tシャツそのものは外部から買ってきて、プリントごっこの要領で、デザインTシャツを作っていた。けっこうかっこいいTシャツもあるし、デザインも布地も、クオリティは悪くない。

    その欲しいといってくれた分だけで終えていればよかったのだが、商売人の私と現地スタッフはすぐに、Koch発のTシャツを、もっと売れないかと考え始めた。

    なにしろ今、スタジオが赤字で閉鎖の危機なのだ。Kochのみんなで作り、Koch Musicianが好きなだけ心にしまってある音楽を形にするために作ったスタジオ。今まではナイロビ市内のスタジオで録音していたが、費用は高く、エンジニアに振り回され、彼らは自分が作った曲を音源の形で手に入れるのに困難を抱えていた。でも、そうやってミュージシャン側に立って作ったスタジオは、やはり、すぐに経営難に陥った。

    「かっこよくて面白い、スワヒリ語Tシャツをつくろう。それを私が日本で売るから、利益をスタジオの運営費にあてよう」

    私がイメージしていたのは、海外で見かける日本語Tシャツみたいな、どんと一言変な言葉が書いているシンプルなTシャツ(ちくわ、とか)。言葉を知らない人にはエスニックな感じで、知ってみると笑えてエスプリが効いている?、シンプルなデザインだからこそ粋な、そういうTシャツだった。

    現地スタッフも、とても乗り気。なにしろスタジオの命がかかっているのだ。

    私がケニアを去る最終日、夕方の飛行機に乗る前の午前中に、Tシャツを渡すから、と言われた。ところが「Tシャツ屋が予定どおりの時間に仕上げてこなかった」という理由で受け取ることができなかった。まあスムースに受け取れるとは思ってなかったけどね、そうなると思ったよ、と受け取らずに日本に戻った。

    次にケニアに行ったときは、何日の何時に受け取るとあらかじめ約束していた。その日まで、十分な日にちがあった。ところが約束の時間に行ってみると、まだできていない。待てるぎりぎりまで待ったが、飛行機の時間があったのであきらめて戻った。すると「でき次第、バイクタクシーに乗って空港まで届けるから」という。Kochから空港まではけっこうな距離で、つまり費用がかかる。真剣さに驚きながらOKしたが、今度は空港で1時間以上待たされた。搭乗時間が迫る。電話するたび「もう近くにいる」と言っていたが、なんのことはない、着くと言っていった時間にはまだTシャツはできてさえいなかった。でもまあ、そんなもんだろうと思い、スーツケース半分を占める量のTシャツを受け取って、飛行機に乗った。

    ところが、あとから中のTシャツを確かめてみると、ことごとく色やデザインが違う。黒字に水色のマーク、紫地に金という色彩感覚の上、全然シンプルでも粋でもない。スワヒリ語が書かれてはいるが、なんかごちゃごちゃしたデザイン。

    あちゃー。これは売れない、と思った。

    私が日本に戻ると現地スタッフから頻繁に、Tシャツは売れたかと催促がくる。どうやら彼はTシャツ制作費を知人から又借りして用立てていたのだ。彼は彼で催促されていて困っているのであった。

    ある日、Tシャツを買いたいという問い合わせが日本のお客さんから来た。大喜びで写真を送ると、写真を見て、もうちょっと落ち着いたデザインがよかった、と断られた。

    「この色、デザインだと、売るのは難しい」と現地スタッフに伝えると、喧嘩になった。Skypeで言い合いになったあと、Facebookでチャットの応酬に。

    「そんなこというけど、このTシャツを2500円で売るのは無理だよ、私、自信ない」と答えると、「分かった。もう頼まない。借りているTシャツ制作費は、俺が貯金を下ろして払うよ。そうすればいいんでしょう?」と拗ねだした。

    貯金なんてないのだ。いらっとして「だってこの色は難しいよ」と言うと、「そうだね。全部悪いのは俺だね。だからいいよ、もうYukariには迷惑かけないよ。売れないんでしょ」とますます拗ね始める。「そう。そんなこというなら、Tシャツ全部ケニアに送り返す。ケニアで売ってちょうだい」「そうしてくれ。こっちでミュージシャンにでもタダで配るから」「今調べてみたら、送料がだいたい2万円くらいかな。まずは送料をWestern Unionで私あてに送金してね」「は?冗談言ってるの?そんな金がどこにあると思ってるの」「だいたいね、このTシャツを受け取るのに、私、何日、何時間待ったと思ってるの。あなたがあらかじめ、ちゃんとTシャツ屋さんに色と数とできあがりを確認していれば、私は飛行機の時間に間に合うかヒヤヒヤせずにすんだのに。そうやってやっと受け取って、重い思いもしてもってきたTシャツが、全部売り物にならなくてがっかりした、私の気持ちにもなってよ」「ああ、Yukariにとって大事なのは、Tシャツが売れるかとかスタジオが経営できるかじゃなくて、自分の気持ちだけなんだね」

    売り言葉に買い言葉である。

    最終的に、ほぼ原価まで値下げして売るということで話がついた。利益が得られなくても、ひとまずコストは回収しよう。それに、値下げすれば、なんとか売れるかもしれない。広くない私の部屋に、Tシャツ様はえらそうに鎮座している。これをなんとか売りさばくのだ!

    ところが先日、20代男子にこのTシャツを見せると、「買います」と言う。

    「ほんとに?かわいそうだから買ってくれるの?欲しくて買うの?」と聞くと、「いや、けっこういいですよこのTシャツ。買いますよ」「でもどうせパジャマにするんでしょ?パジャマくらいにしかならないよね?」となぜか卑屈な私。「パジャマにすると思いますけど、どのTシャツもパジャマ兼部屋着ですよ。他のTシャツと同じです」

    もしかして、売れないというのは私の思い込みだったのかもしれない。Tシャツの購入行動を私が知らないだけかも。私が見せた相手は誰も買うと言わなかったが、聞いた相手が間違っていたのかも。

    ある人に、おまけにTシャツをつけてみた。「好みです」と返事がきた。

    好みですか、マジ?これもしかして、売れるかも。

    私がそう思い始めたことは、まだ現地スタッフには告げていない。全部売って、一気にお金を送金してびっくりさせてやるのだ。そして全部売る手だてとして、5月30日から出店する、「アフリカン・フェア」で販売することにした。このイベントにはたくさんの人が来場するのだ。一気に売りさばけるに・・・違いない!

    最後にそのTシャツを披露しておこうと思う。

    (左:紫地に金Tシャツの表面。
    右:緑Tシャツの裏面。AMP MUSICとKoch FM、スタジオのロゴが入っている)

    Furahia wa Africaとは、スワヒリ語でEnjoy Africa!の意味である。
    陽気な言葉が癪に障る。でもそんな経緯を知らない人は、もしかして「いいね!」と思ってくれるかもしれない。

    アフリカン・フェアに来られないけど、Tシャツはぜひ欲しいという方がもしいらっしゃったら、どうぞどうぞinfo(a)amp-music.netまでご連絡下さい。価格、ご相談に乗ります。よろしくお願い申し上げます。

    追伸:Facebookでよい評判をもらったので、張り切って赤の写真もアップします。
    色は紫、緑の他、この赤と黒があります。サイズはMとLですが、日本サイズだとLとLLといった感じの大きさです。ぶかっと着る感じになります。