• L
    O
    A
    D
    b i

    • LOADING
    • _
    • /
    • _

    BLOGGING

    2011.11.17

    Umekutiアフリカを行く。:現場へ

    ナイロビに来て3週間以上経った。暑くなっていくはずのこの時期だが、まだ雨が多い寒い日が続いている。朝晩はユニクロのフリースと毛糸の靴下を履いているほど。

    私がナイロビに着いた頃はソマリアのイスラム過激派組織アルシャバブが関わっていると見られる手榴弾テロがナイロビ市内で複数あり、治安が不安視されていた。今でもメディアは毎日warのニュースだらけで新聞の一面は戦車や軍人の写真ばかりだけれど、街じゅうでセキュリティが強化されて、人々は落ち着いて暮らしている。

    私は連日Koch(コッチ)スラムに通い、現地パートナーであるKoch FMとミュージシャンたちと会っている。Kochスラム内もたくさん歩いたので、土地勘ができてきた。

    いままで、Koch FMとのオペレーションはそううまくいっていたわけではなかった。コミュニケーションはとれているのだが、実際のものごとがなかなか動かなかったのだ。その改善が今回のミッションのひとつ。

    ミーティングの初日に、私たちのしたいことについて、改めて話をした。私たちは、iTunes等インターネットを使ってアフリカのインディーズ音楽を世界中で売っていく。しかし私たちがやりたいのは、ただ音楽を売ることだけでない。その先には、インディーズのミュージシャンが才能に応じた対価を得られるような仕組みをつくりたいという夢を見ているのだ、と伝えた。そしてそのためにもあなたたちと一緒に「ビジネス」をしたいのだ。つまり、マーケットを基準にして自分達で売り上げをつくっていくのだ。そしてそのための工夫をすることで新しいものを生み出したいということだ。

    そう話した瞬間、表情が一変してその場の空気が変わった。なぜなら彼らもずっと、同じことにたいして格闘してきたからだ。ナイロビのラジオ局にCDを持って売り込みにいっても、無名であり資金が足りないことで相手にもされない、といった経験をしてきたのだ。

    (ところで私がそのときに言い放った”This is a business”という言葉は、しばらくの間Koch FM内で流行語となり、会話の中のジョークでよく使われるはめになった(笑))

    何が人を動かすんだろう。
    Koch FMとの関係においては、私たちの存在は彼らに金銭的なメリットをもたらすので、それが大きなインセンティブだと思っていたし、それは事実。でも売り上げの分配のように行為の結果に応じてお金が払われるということだけだと、現状で見えている上限というのがどうしてもあるから、それを手に入れるための最低限を義務のように果たすという行動様式になってしまうのかもしれない。私たちはベンチャーだから、それだけじゃ困るのだ。手に入ることがあらかじめ見えているものを超えて、リスクをとってコストをかけて、知恵や労力を絞って何かをしようとする原動力は、別のところから湧いてくる。

    ミュージシャンたちもとてもやる気だ。いままで、自分の音楽がお金になる機会をうまく作れずにきたのだ。不安定で、人にこづきまわされる仕事ではなく、自分自身の才能や楽しみによって生計を立てていけることは、誰にとっても嬉しいことだろう。いや、なによりも、ミュージシャンにとって自分の音楽をたくさんの人、それもいろんな国の世界中の人が聞いてくれるというのは、この上なくうれしいことなんだ。

    Koch FM、ミュージシャンたち、私たち。三者はいま、同じ夢を見ている。

    しかし、現場のこういう熱と一日つきあいながら、一方で私自身はだんだん顔がひきしまってきているのを感じる。ひとりナイロビで、一日歩き回って埃っぽくなってホテルに戻り、夜になると不安で涙がにじむ。私たちは、彼らと約束した結果をだせるんだろうか。これからもスピーディに、歩みを進めていけるんだろうか。ただ夢物語を語って終わるだけの人になれ果てずにすむんだろうか。

    コンサルタントとして見てきた、経営者の人々が抱くありふれた不安と孤独を、私も感じる側になったんだとしみじみ思う。そしてそれを解消するヒントは、現場にある。というわけでまた、Kochに向かう。